人生シミュレーターを授業や親子の会話に使うには
「日本に生まれる」は、日本のどこかの都道府県に、ある年に、ある家庭の子として生まれ、一生を1年ずつ生きる人生シミュレーターです。遊び終えたあと、「生まれた場所が違ったら?」「自分ならどの道を選ぶ?」と、自然に話が広がることがあります。このページでは、家庭で親子が一緒に遊ぶときと、学校の授業で使うときの進め方、話し合いの問いの例、遊ぶ前に知っておきたいことをまとめました。
なぜ人生シミュレーションは話すきっかけになるのか
人生シミュレーションでは、2種類のことを続けて体験します。
- 選べない生まれ: 生まれる都道府県・生まれ年・性別・家庭の暮らし向き・ひとり親かどうか・きょうだい・親の学歴は、統計にもとづいてランダムに決まります。自分では選べません。
- 自分で選べる分かれ道: 進学、仕事、結婚、住まい、お金の置き場所などは、カードの選択肢から自分で選びます。選択肢ごとに、どんな変化がありそうかの短い説明がついています。
さらに、病気や事故のように、選べずに起きる出来事もあります。「生まれ」「選択」「運」の3つが重なって一生ができていく様子を10〜20分で見られるので、ふだんは話しにくい格差や進路、家族、お金、老いや死のことを、「ゲームの中のある人の人生」として、少し距離をおいて話し合うきっかけになります。
結果画面の「同じ生まれで、別の選択をする」を押すと、同じ条件から人生をやり直せます。生まれを変えずに選択だけを変えたらどうなるか、を比べられるのも、話し合いに使いやすい点です。

親子で遊ぶとき
何歳から遊べる?
年齢の決まりはありませんが、ゲームの中では病気・事故・犯罪・家族の死・貧困なども起こり、亡くなり方の一つとして自ら命を絶つ場面も出ます(くわしくは遊ぶ前に知っておきたいこと)。めやすとしては、中学生くらいからなら、ひとりで遊んだあとに話し合うことができます。小学生と遊ぶなら、大人が隣で一緒に画面を見て、出来事の意味をその場で話しながら進めるのがおすすめです。お子さんの様子に合わせて、おうちの方が決めてください。
進め方の例
- まず大人が1回遊んで、どんな出来事が出るかを知っておく。
- 子どもが「生まれる」を押し、分かれ道は子どもが選ぶ。大人は横で「なんでそれにしたの?」と聞く。
- 終わったら、結果画面のあらすじを一緒に読む。
- 「同じ生まれで、別の選択をする」で、今度は大人が選んでみて、違いを比べる。
家族それぞれが同じ条件で遊びたいときは、トップページの「今日の生まれで始める(みんな同じ生まれ)」を使うと、その日に遊ぶ全員が同じ生まれから始まります。
話題の例
- 生まれた県や家庭で、何が変わった? 実家の暮らし向きや親の学歴、住んでいる県で、進学や仕事の道がどう違ったかを振り返ります。
- 時代で、どう変わる? バブルや震災、改元など、昭和・平成・令和の約130の出来事に、そのときの年齢で出会います。「おじいちゃん・おばあちゃんが生まれた年なら?」「お父さん・お母さんの世代なら?」と、メニューの「設定」で世代を選んで遊ぶと、家族の昔話につながります。
- 自分なら、どの道を選ぶ? 分かれ道のカードで迷ったところを、もう一度一緒に考えます。正解はありません。
- この人は幸せだった? 純資産が多い人生と、家族や友だちと過ごした人生、どちらがよかったかは人によって違います。
結果画面には「同じ生まれ160通り中、純資産は上位3%」のような順位が出ますが、これはお金や寿命などの数字をゲームの中で比べたもので、人生の価値の順位ではありません。そのことを、ひとこと添えてあげてください。
学校の授業で使うとき
スマートフォン・タブレット・パソコンのブラウザで動き、登録は要りません。1人1台の端末があれば、各自で1回ずつ生きてみることができます。端末が足りないときは、ペアや班で1台を使い、分かれ道を相談して選ぶ形もとれます。
45〜50分の流れの例
| 時間のめやす | 活動 | ポイント |
|---|---|---|
| 5分 | 導入 | 「生まれる場所や家庭は選べるか」を問いかける。遊ぶ前に、つらい出来事も出ることと、順位は人生の価値ではないことを伝える |
| 15分 | 各自で1回生きる | 全員で比べたいときは「今日の生まれで始める」を使う。時間内に終わるよう、速さを上げるか「おまかせ」を使う |
| 10分 | 同じ生まれでやり直して比べる | 結果画面の「同じ生まれで、別の選択をする」で、選択だけを変えてもう一度。何が変わり、何が変わらなかったかをメモする |
| 5分 | 統計で確かめる | 解説ページで、ゲームの数字のもとになった実際の統計を見る(親ガチャ、都道府県別など) |
| 10分 | 話し合い | 班で、下の話し合いの問いから1〜2つを選んで話す |
| 5分 | ふりかえり | 「生まれで変わること」「自分で選べること」を一文ずつ書く |
使える教科・場面の例
- 総合的な学習の時間: 「生まれと格差」「地域の暮らし」「これからの生き方」などを探究するテーマの入り口に。
- 社会科(公民・地理・歴史): 都道府県による賃金や進学率の違い、社会保障や年金、昭和・平成・令和の出来事を、統計とあわせて考える材料に。
- 家庭科: 住まい(賃貸か購入か)、貯蓄と運用、結婚・子育て・介護など、暮らしとお金の分かれ道を考える場面で。
- キャリア教育: 進学・就職・転職・独立などの分かれ道や、特別版の「〜になるには」を手がかりに、仕事の選び方を話し合う場面で。
- 道徳: 自分では選べないことを抱えた人への想像力や、「幸せとは何か」を考える場面で。
どの教科でどう扱うかは、学校や先生のねらいに合わせて決めてください。ここに挙げたのは、使い方の一例です。
話し合いの問いの例
テーマごとに、話し合いの問いと、あわせて読める解説ページをまとめました。数字を確かめながら話すと、「ゲームではこうだったけれど、実際の統計では?」と考えを深められます。
| テーマ | 問いの例 | あわせて読む |
|---|---|---|
| 生まれと格差(親ガチャ) | 家庭の暮らし向きで、進学や仕事の道はどう変わった? 「親ガチャ」という言葉を、あなたはどう思う? 生まれの差を小さくするには、社会に何ができる? | 親ガチャ |
| 地域(都道府県) | 生まれた県が違ったら、何が変わりそう? 自分の住む県は、賃金や大学進学率で全国の中のどのあたり? | 都道府県別 |
| 時代(世代) | 同じ22歳でも、生まれ年によって就職のしやすさはどう違う? 家族の世代で遊んでみて、何に驚いた? | 世代別 / 生まれ年別 |
| 仕事 | なりたい仕事には、どんな条件や資格が要る? なったあとの一生は、想像と同じだった? | 特別版の「〜になるには」(医師、料理人、漫画家、首相など) |
| お金 | 生涯の収入は、何で大きく変わった? 平均的な人生と比べて、ゲームの人生はどうだった? | 日本人の平均的な人生 / 貯蓄と運用 |
| 人生の終わり(寿命) | 何歳まで生きた? 長く生きることと、よく生きることは同じ? 世界の中で日本に生まれることは、どのくらいめずらしい? | 何歳まで生きるか / 日本に生まれる確率 |
参考になる数字の例: 2024年の子どもの貧困率(17歳以下)は11.0%で、およそ9人に1人です(厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」)。2025年の平均寿命は男性81.35年、女性87.33年です(厚生労働省「令和7年簡易生命表」)。いま生きている人で数えると、世界の約82億人のうち日本で暮らすのはおよそ67人に1人です。出典は、それぞれの解説ページにのせています。
遊ぶ前に知っておきたいこと
ゲームの中で起こる出来事
「日本に生まれる」は、楽しい出来事だけでなく、実際の人生で起こりうるつらい出来事も描いています。たとえば、次のような出来事があります。
- 病気(がん・心臓の病気・脳卒中など)や、交通事故などの事故
- 震災などの大きな災害(その年に生きていれば、時代の出来事として出会います)
- 親や配偶者が亡くなること
- 家庭の貧困、失業、借金、自己破産、生活保護
- うつ病で仕事を休むこと
- 詐欺などの犯罪に巻き込まれること、危ない仕事の誘い、逮捕
- 近所の子どもが虐待を受けているかもしれない場面(児童相談所虐待対応ダイヤル「189」の説明つき)
- 人生の終わりは、老衰や病気のほか、事故で亡くなることや、心の不調を抱えたまま自ら命を絶つこともあります
どれが起こるかは、生まれや選択、運によって変わります。特別版の中には、戦時中に生まれるのように戦争を描くものもあります。
つらい経験がある子への配慮
家族を亡くした、家庭の事情で苦しい思いをしている、といった子どもにとっては、ゲームの出来事が自分のことと重なる場合があります。授業で使うときは、事前に内容を伝え、参加のしかたを選べるようにする(見るだけ、ペアで遊ぶ、別の課題にするなど)と安心です。話し合いでは、自分や家族のことを話すよう求めず、「ゲームの中のこの人」について話すようにしましょう。
数字は、公的統計とゲームの仮定が混ざっている
寿命・賃金・進学率・結婚・年金などは公的統計をもとにしていますが、統計がないところはゲーム上の仮定で補っています。どこが実データでどこが仮定かは、解説の一覧で領域ごとに公開しています。このシミュレーションは、実際の人生や個人の将来を予測するものではありません。授業では、「ゲームの結果」と「実際の統計」を分けて扱うことをおすすめします。
順位は、人生の価値ではない
結果画面の順位は、純資産・生涯の収入・寿命のどれかを、同じ生まれの160通りの人生の中で比べたゲームの試算です。特定の個人や家庭、地域を評価したり、優劣をつけたりするものではありません。
困ったときの相談先
家のことや学校のことで悩んでいる子どもや若い人は、文部科学省の「24時間こどもSOSダイヤル」(0120-0-78310、通話無料、24時間)に電話で相談できます。
世界の視点も加えるなら
人生シミュレーター『80億分の1』は、世界172か国が舞台で、日本語でも遊べます。「日本に生まれる」は舞台を日本の47都道府県にしぼっているので、2つを組み合わせると、「世界の中の日本」と「日本の中の自分」を比べる授業もできます。たとえば、前半で『80億分の1』を遊んで「どの国に生まれるかで何が変わるか」を、後半で「日本に生まれる」を遊んで「日本の中でも、県や家庭でどう変わるか」を考える、という流れです。2つの作品の舞台・遊び方・データの扱いの違いは、「『80億分の1』の日本版はある?」で表にして比べています。
「日本に生まれる」は『80億分の1』およびその開発元とは関係のない、独立した作品です。作品名は比較・紹介のために記載しています。記載の作品名は、各社・各権利者の商標または登録商標です。
学校・団体での利用
無料版は、登録なしで、どなたでもそのまま授業に使えます。学校・企業・自治体向けには、「法人・学校・自治体向け」のページで、授業の進め方ガイドとワークシート、ディスカッションの問い、クラス全員が同じ生まれで始める設定などを含む有料プランを案内しています。授業や研修での教育効果は、まだ検証していません。導入先と一緒に確かめていく段階です。

よくある質問
何年生から使えますか?
決まりはありません。病気・事故・犯罪・家族の死・貧困などの出来事も出るため、ひとりで遊ぶなら中学生くらいからがめやすです。小学生と使うときは、大人が一緒に画面を見ながら進めてください。
無料ですか? 登録は必要ですか?
無料で、登録もダウンロードも要りません。ブラウザで「生まれる」を押すとすぐに始まります。学校・団体向けの有料プランもありますが、無料版をそのまま授業で使えます。
授業の時間内に終わりますか?
1回の人生は、おおむね10〜20分です。速さを×1〜×16で変えたり、「次の決断まで」で進めたり、分かれ道を「おまかせ」にしたりできます。メニューの「設定」で決断の多さを「少なめ」にすると、大きな決断だけになります。
タブレットや1人1台端末で動きますか?
スマートフォン・タブレット・パソコンのブラウザで動きます。アプリのインストールは要りません。
クラス全員が同じ条件で遊べますか?
「今日の生まれで始める」を使うと、その日に遊ぶ全員が同じ生まれから始まります。結果の共有リンクを開いた人も、同じ生まれから人生を始められます。
子どもの個人情報は送られますか?
アカウント登録は要らず、登場する人物はゲームで作られた架空の人物です。遊んだ記録は端末のブラウザに保存されます。ひとことメモなどの入力した文章はアクセス解析に送りません。最後まで生きた人生は、名前やメモを含まない要約が匿名で「みんなの人生」に並び、結果画面の「載せない」で表示されなくなります。くわしくはプライバシーポリシーをご覧ください。
まとめ
人生シミュレーションは、選べない生まれと、自分で選べる分かれ道、そして運が重なって一生ができていく様子を、短い時間で体験できます。家庭では「自分ならどうする?」と話すきっかけに、学校では統計とあわせて格差や進路、暮らしを考える入り口になります。遊ぶ前に、つらい出来事も出ることと、順位は人生の価値ではないことを伝えてから始めてください。
人生シミュレーション「日本に生まれる」を遊ぶ(無料・登録なし)
関連: 遊び方 / 親ガチャ / 都道府県別 / 世代別の解説 / 生まれ年別 / 日本人の平均的な人生 / 日本に生まれる確率 / 『80億分の1』の日本版はある? / 法人・学校・自治体向け
次の解説: どこに、どんな家庭に生まれるか